5月5日は子供の日として有名ですが、《薬日 くすりび》でもあります。
今から約1400年前の611年5月5日に推古天皇が菟田野(現在の奈良県宇陀市)へ出かけ、薬になる草や木、鹿茸(ろくじょう)などをかる【薬狩り】を催し、毎年5月5日を《薬日 くすりび》と定めたと日本書紀に記されています。
ゴールデンウイーク頃は、色々な花が咲き一年で最も植物が香り、夏にかけて野草たちが一番元気な季節になります。
身近にあり奇跡の薬草ともいわれる《スギナ》を摘みに出かけましょう。たくさん採取したら天日干し、カラカラに乾いたらスギナ茶やお風呂に、また陰干しで粉末にすると抹茶のように緑色を保ち、使いやすくておすすめです。
🌱 ハーブでは【ホーステール】と呼ばれるスギナ
スギナの形が馬の尻尾に似ていることから【ホーステール】と呼ばれ、4億年も前から地球上に存在していた原始植物だといわれています。また、ヨーロッパでは古くからメディカルハーブとして利用され、熱を下げたり、止血などに使われていたそうです。
🌱 中国では「問荊 もんけい」という生薬
薬草として約400年も前から薬草辞典に収蔵され、最も有名な本草綱目に節と節とが互いに接していることから【接続草】として登場します。また本草綱目の現代版《本草綱目拾遺》には、利尿・循環器系統の強化・血圧を下げる・出血を止める作用があると記されています。
5月から7月の全草を採取し、乾燥させたものを生薬の【問荊 もんけい】といいます。利尿、去痰作用のほか、膀胱炎、咳、むくみなどに良いとされています。
🌱 地獄草の別名で呼ばれる【スギナ】
繁殖力が強く伸ばした地下茎は驚くほど広く張り巡らされることから、別名【地獄草】と呼ばれることも。その強さで有名な話があり、広島の原爆の跡地に一番先に芽吹いたのがスギナといわれ、踏み付けても根を抜いても、なお青い芽を絶やさない生命力でドンドン増えていきます。もの凄い生命力をいただくことができますね。
🌱 【スギナ】の成分・栄養素
ミネラルの宝庫といわれ、豊富なミネラルが特徴でマグネシウム、鉄、マンガン、亜鉛などが非常に多く含まれているそうです。これらの微量ミネラルは体の免疫システムなどの活性化に重要とされています。また有機カルシウム、鉄も豊富に含まれ、貧血・骨粗しょう症の予防にも適しており、ケイ素を豊富に含むため人の体内で生成できないケイ素の補給にも最適です。
國際中医薬膳師 西村智子